2026年9月7日
※画像は鎌倉観光公式ガイドより引用
江ノ電の長谷駅から歩いて5分、大仏や長谷観音へ向かう人波から少しだけ外れた場所に、鎌倉でもっとも古いと伝わる神社が静かに建っています。
甘縄神明神社です。
ふだんは無人で、参拝者もまばらなこの社が、一年に一度だけ町全体を巻き込んで動き出すのが9月の例大祭です。
2026年は9月13日(日曜日)に神幸祭、9月14日(月曜日)に式典が行われ、長谷の町を練り歩いた神輿は、最後に海岸へと下りていきます。
目次
甘縄神明神社 例大祭の開催概要
- 神幸祭(神輿渡御):2026年9月13日(日曜日)12:00~
- 例大祭式典:2026年9月14日(月曜日)10:00~
- 会場:甘縄神明神社(鎌倉市長谷1-12-1)および長谷町内一帯
- 参列・観覧料:無料(沿道や境内から自由に見学できます)
- 御祭神:天照大御神
- 祭事の執行:当社は通常無人のため、管理元である大町の八雲神社から神職が出向いて祭典を行います
神奈川県神社庁の登録では、神幸祭の日付は「9月14日に近い日曜」と定められています。
2026年は14日が月曜にあたるため、前日の13日が神幸祭、14日が式典という並びになりました。
日曜に神輿、月曜に式典だみぃ♪ 三連休じゃないけど、日曜だけでも見にいけるミー♫
じつは8日間つづく祭り|9月7日の假屋祭から14日の式典まで
「例大祭」と聞くと1日か2日のイベントを思い浮かべますが、甘縄神明神社の場合は少し事情が違います。
神奈川県神社庁の登録には、9月7日の假屋祭(かりやさい)もまた例大祭のひとつとして記されています。
假屋、つまり「お仮屋」は、祭りの期間に神輿を安置するために町なかへ仮設される場所のことです。
過去の長谷地域の案内を見ると、このお仮屋は9月7日から14日までのあいだ開かれていました。
7日に神さまを迎える準備が整い、14日の式典で締めくくられるまでの8日間、長谷の町は祭りの時間のなかにある。
13日と14日は、その長い期間のクライマックスにあたるというわけです。
2026年の行事日程
- 9月7日(月)~13日(日)18:00~20:00 ぼんぼり祭
- 9月11日(金)・12日(土)18:00~ 模擬店など町内の夜の催し
- 9月12日(土)18:00~ 万灯神輿
- 9月13日(日)12:00~ 神幸祭(神輿渡御)
- 9月14日(月)10:00~ 例大祭式典
この日程は鎌倉手帳(yoritomo-japan)が公開している2026年の予定にもとづいています。
ぼんぼり祭や夜店は自治会が主体となって運営される行事のため、当日の実施状況や時間は前後する可能性があります。
お出かけ前に、境内や長谷の商店に貼り出される掲示で最新の案内を確認しておくと安心です。
1週間ずっとぼんぼりが灯ってるみぃ♪ 夕方の長谷、いつもと全然ちがう顔になるみぃな〜
鎌倉最古と伝わる社の、1300年をこえる物語
甘縄神明神社は、鎌倉市内で最古の神社とされています。
社に伝わる略誌によれば、和銅3年(710年)に行基が草創し、この地の豪族であった染屋時忠によって創建されたといわれます。
行基は、のちに奈良の東大寺大仏の造立を主導することになる高僧です。
710年といえば平城京に都が移された年でもあり、鎌倉に幕府が開かれるより500年近くも前ということになります。
正徳2年(1712年)にまとめられた縁起には、山の上に神明宮、その麓に円徳寺という寺院が建てられたと記されており、当時は神社と寺が一体の信仰空間だったことがうかがえます。
なお現在の社名は比較的新しく、もとは甘縄神明宮や甘縄神明社などと呼ばれ、昭和7年(1932年)に「甘縄神明神社」と定まりました。
源氏との、切っても切れない縁
この神社が特別視されてきた最大の理由は、源氏との関わりの深さにあります。
源頼義がこの社に祈願したところ、八幡太郎の名で知られる源義家が生まれたという伝承が残っているのです。
そのため康平6年(1063年)には頼義が、永保元年(1081年)には義家自身が、社殿の修復を行ったと伝えられています。
時代が下って鎌倉時代、『吾妻鏡』には文治2年(1186年)に安達盛長の監督のもとで修理と建築が終わり、源頼朝が北条政子とともに参詣したことが記されています。
頼朝はその後も建久5年(1194年)にたびたび参詣しており、政子や実朝も足を運んだ社として記録が残ります。
古来「伊勢別宮」と尊称されてきたのも、武家からのこうした厚い崇敬があってのことでした。
「甘縄」という名前が残している、海の記憶
ところで、この不思議な社名はどこから来たのでしょうか。
「甘縄」は長谷周辺の古い地名だったと伝えられていますが、その意味については「甘」が海女を、「縄」が漁に用いる縄を表すのではないかという説があります。
前に海、後ろに山という地形の長谷は、鎌倉のなかでも早くから人が住みついた土地だと考えられています。
つまりこの社名には、海に生きた人びとの暮らしがそのまま残っている可能性がある、ということです。
そう考えると、例大祭の神輿が長谷の町をひと巡りしたあと、最後に海岸へ下りていくという道筋の意味が違って見えてきます。
過去の渡御では、正午に神社を出た神輿が町内の各所を巡り、長谷観音や大仏の前を通って、海岸に立ち寄ってから宮入りするという順路がとられていました。
1年に一度、神輿が海まで帰っていく。
観光地としての長谷ではなく、海辺の集落としての長谷の姿が、この一日だけ表に出てくるように思えるのです。
神輿が海まで下りていくなんて、海街らしすぎるみぃ!! これは絶対に見たいだみぃ♡
当日の見どころ
神幸祭(9月13日)|町を巡る神輿渡御
祭りの主役は、なんといっても13日の神輿渡御です。
正午に神社を出発した神輿は、長谷の町内を時間をかけて巡っていきます。
期間中は長谷町内の各所に御神酒所が用意され、神輿が置かれる場所もあります。
この渡御を主体となって担ってきたのが、地元の睦会をはじめとする長谷の担ぎ手たちです。
観光客でにぎわう通りを、地元の人が地元の神輿を担いで進んでいく光景は、鎌倉の観光名所としての顔と、生活の場としての顔が重なる貴重な瞬間でもあります。
なお具体的な巡行ルートや各地点の通過時刻は年によって変わるため、当日は境内や町内の掲示でご確認ください。
例大祭式典(9月14日)|静かな締めくくり
14日の午前10時から行われるのが、例大祭の式典です。
にぎやかな渡御とは対照的に、こちらは神事としての厳かな時間になります。
石段を上った高台の社殿で、大町の八雲神社から出向いた神職によって祭典が執り行われます。
平日の午前ですが、静かな境内で一年の締めくくりの神事に立ち会えるのは、この日だけの体験です。
ぼんぼりと夜店で変わる、長谷の夕暮れ
9月7日から13日までは、夕方の18時から20時にかけてぼんぼり祭が行われます。
あわせて期間の後半には模擬店や夜店が並び、地元の子どもたちが集まる縁日の空気になります。
12日の夜には万灯神輿も登場し、灯りをまとった神輿が暗くなった町を進みます。
昼間の観光では味わえない、住んでいる人たちの長谷を覗ける時間帯です。
境内で見ておきたいもの
祭りの日に限らず、この神社の境内には見どころが凝縮されています。
- 北条時宗公産湯の井:石段の途中にある井戸。元寇に立ち向かった執権・北条時宗が誕生の際に使ったと伝わります
- 安達盛長邸址の碑:鳥居をくぐった右手。ただし近年は御成町の今小路西遺跡に屋敷があったとする説が有力です
- タブノキ:「鎌倉と三浦半島古木・名木50選」に選ばれた大木
- 五社明神と秋葉社:五社明神は明治20年(1887年)に長谷寺の鎮守が合祀されたもの
- 拝殿の屋根:青銅葺きで、鰹木が5本と千木が空へ突き出た神明造の意匠
そして忘れてはいけないのが、社殿の前から振り返ったときの景色です。
石段を上りきると、由比ヶ浜と長谷の町並みが一望できます。
すぐ近くには川端康成の邸宅があり、この神社は小説『山の音』に登場する場所としても知られています。
石段を上って振り返ると海が見えるみぃ♪ ここ、うーみぃのいちばんのおすすめだミー♫
アクセス情報
- 所在地:神奈川県鎌倉市長谷1-12-1
- 電車:江ノ島電鉄「長谷駅」から徒歩約5分
- バス:JR鎌倉駅東口から江ノ電バス・京急バスで「長谷観音」バス停下車、徒歩数分
- 駐車場:専用駐車場はありません。近隣のコインパーキングを利用してください
- 参拝時間:開門時間の設定はなく参拝は自由ですが、日中の明るい時間帯がおすすめです
長谷エリアは9月の週末も観光客でかなり混み合い、長谷駅周辺の駐車場は早い時間から満車になります。
神輿渡御の当日はさらに人出が増えることが予想されるため、江ノ電での来訪を強くおすすめします。
なお甘縄神明神社は通常無人のため、御朱印は管理元である大町の八雲神社(鎌倉市大町1-11-20)で授与されています。
長谷からは少し距離があるので、御朱印を目的にする場合はあらかじめ動線を組んでおくと無駄がありません。
御朱印は大町の八雲神社だみぃ♪ 知らずに行くとガッカリしちゃうから覚えておいてミー♫
あわせて立ち寄りたい、長谷のまわり
甘縄神明神社は、鎌倉でも屈指の観光エリアのど真ん中にあります。
祭りとあわせて歩ける場所には事欠きません。
- 長谷寺:徒歩数分。十一面観音を本尊とする古刹で、境内の見晴台からは由比ヶ浜が見渡せます
- 高徳院(鎌倉大仏):徒歩約10分。神輿の渡御ルートもこの周辺を通ります
- 鎌倉文学館周辺:文豪たちが暮らした一帯。川端康成の旧邸もこのエリアにあります
- 由比ヶ浜海岸:徒歩10分ほど。9月の海はすでに静かで、夕方の散歩にちょうどいい時間が流れています
長谷駅前から由比ヶ浜へ抜ける道沿いには、カフェやパン屋、雑貨店も点在しています。
神輿を追いかけて歩いていると、いつのまにか知らない路地に入り込んでいた、というのもこの祭りの楽しみ方のひとつです。
1300年分の時間が、9月の2日間に重なる
鎌倉には有名な祭りがいくつもあります。
そのなかで甘縄神明神社の例大祭は、観光イベントとして大きく告知されるタイプの祭りではありません。
公式サイトもなく、詳しい情報は地元の掲示や町内の口づてで回っていくような、そういう祭りです。
だからこそ、長谷の人たちが世代を越えて守り続けてきた行事だという実感が、そのまま残っています。
710年の草創から、源氏の武将たちが祈りを捧げた中世を経て、2026年の9月へ。
海女と漁の縄に由来するかもしれない名前を掲げた社から、神輿がまた海へ下りていきます。
9月13日、長谷でお囃子が聞こえたら、少しだけ足を止めてみてください。
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